大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)1016 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人佐川正智の上告理由第一点について。

原判決の認定によれば、上告人は被上告人より本件浴室の増築后その撤去方の催

告を受けたにもかゝわらず、これに従わないばかりか更に本件木戸の取付をなした

ものであり、被上告人は右増築により原判示の如く種々迷惑を蒙つたものであつて

上告人主張のように被上告人になんら痛痒を与えないものということができないか

ら、本件解除権の行使をもつて信義則違反ないし権利の濫用とはなし難い旨判断し、

右判断は是認できるところであり、また所論判例違反の主張は原審で主張しない事

実を前提とするものであるのみならず、引用の判例は本件に適切でないから所論は

採用に値しない。

同第二点について。

原判決は本件浴室の増築を目して訴外Dの所論の家屋からの退去理由と認定判示

しているのでないことは原判文上明らかであるから、この点の所論は原判示に副わ

ないものであり、他は原審のした証拠の取捨判断、事実認定を非難するものであつ

て採用に値しない。

上告代理人万谷亀吉の上告理由第一点について。

所論の被上告人からの警告が発せられてから四年半余を経過し、その間数次賃料

の増額改訂がなされたとの一事によつて被上告人が本件解除権を放棄したとか、上

告人の特約違反工事の事后承諾をなしたと認めなければならないものとはいえない

から、この点に関する原判示は正当であつて、所論の違法を認め得ない。

同第二点について。

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原判決の趣旨とするところは本件木戸の取付工事により、以前から本件通路上に

存した所論にいわゆる北隣家の袖と合せて右通路を遮断するに至つたものであり、

所論木戸取付工事が本件特約にいう付加工事にあたると判示しているのであつて、

右認定は挙示の証拠により首肯できるところであり、所論は原判決を正解せざるか、

または独自の見解に基いて原判決の認定判断を争うものであつて採用に値しない。

よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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